2018-08
歯周病がアルツハイマー型認知症を悪化させる!?
歯周病とは、お口の中の歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉に炎症を起こし、やがては歯を支えている骨を溶かしていく恐ろしい病気です。
35歳以上の日本人の約8割が罹患しており、歯を失う最も大きな原因となっています。
歯周病はお口の中の病気だと思われがちですが、最近の研究で、体中の様々な病気と関係があることがわかってきています。
歯周病とアルツハイマー型認知症の関係は?
アルツハイマー型認知症は、脳の細胞が死滅し機能が悪化することで、物忘れや記憶障害、判断力の低下など様々な障害が生じ、日常生活に支障をきたす病気です。
脳の神経細胞の中にアミロイドβというたんぱく質の「ゴミ」がたまり、神経細胞が徐々に死滅することが原因と考えられています。
人工的にアルツハイマー病にしたマウスの半数に歯周病を発症させたところ、歯周病のないマウスよりも認知機能が悪化したことがわかりました。
さらに実験後、脳に沈着したアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβを調べると、歯周病のないマウスに比べて歯周病発症マウスのものは重量で約1.5倍、面積では約2.5倍にもなっていました。
歯周病菌との因果関係は完全に解明されていないものの、研究者は口の中の歯周病菌や炎症のもととなる物質などが、血流に乗って脳に運ばれて何らかの影響を与えているのではないかと推測しています。
歯周病で歯を失うことも認知症の原因に!?
また、歯周病で歯を失うことも認知症の原因の一つになることが分かってきました。
歯を失ってきちんと噛めなくなって咀嚼機能の低下が起こると、脳の中枢神経への刺激が減り、アルツハイマー型認知症が起こりやすくなるのです。
恐ろしいことに、咀嚼機能の低下は歯一本でも起こりうると言われています。一本の歯が抜け長期間放置するだけで、その両隣の歯が支えを失い傾いたり、反対側の歯が出てきたりして、口全体のバランスが崩れてくるからです。
歯周病は定期検診が大切!
歯周病は認知症だけでなく、糖尿病の原因の一つです。
心内膜に蓄積して心内膜炎を起こしたり、心筋梗塞の一因になったり、妊娠中の女性は早産になったりすることも分かってきました。
歯周病は歯を失う第一原因であるだけでなく、全身疾患の原因になる恐ろしい病気なのです。
歯周病の原因を作るのは歯垢です。
日頃いくら頑張って歯磨きをしていても完璧に歯垢を取り除く事はできません。
磨き残した部分の細菌はバイオフィルムという歯磨きでは取れない膜を作り、どんどん層になって増え、3ヶ月たつと病原性を増していきます。
高齢になって歯を一本でも多く残すために、忙しいからと後回しにせず、定期的に蔵前の笠原歯科で歯の検診を受けましょう。